潰瘍性大腸炎

ホーム 潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎とは?

潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)は、大腸の粘膜に炎症が起こりびらんや潰瘍ができる疾患です。

症状が落ち着いたり(寛解期)、悪化したり(活動期)を繰り返すため長期にわたる治療が必要になります。

この病気は厚生労働省が指定する難病の一つですが、適切な治療と生活管理を継続して行えば症状をコントロールでき発症前と変わらずに日常生活を送ることができます。

原因は?

現在、原因は解明されていません。
遺伝因子、食事・喫煙などの環境因子、腸内細菌などの要因が組み合わさって発症すると考えられています。

潰瘍性大腸炎の症状

  • 下痢(1日に何度もトイレに行く)
  • 粘血便(便に粘液や血が混じる)
  • 腹痛
  • 発熱(炎症が強い場合にみられる)
  • 貧血(血便が続くことによる)
  • 体重減少             

どんなタイプがあるの?

      

重症度分類

令和6年度 改訂版 (令和7年3月31日) (令和7年3月31日) 潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班) 令和6年度分担研究報告書より引用

潰瘍性大腸炎の患者数と発症年齢

潰瘍性大腸炎は、日本国内での患者数が年々増加している疾患です。

  • 約22万人(2023年時点)
  • 30歳代がピーク
  • 男女比はほぼ同じです     

潰瘍性大腸炎の検査方法

潰瘍性大腸炎は症状だけでは診断できないため、内視鏡検査や血液検査などの複数の検査を組み合わせて診断します。特に、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)が最も重要な検査であり、大腸の炎症の範囲や状態を詳しく観察します。
また、潰瘍性大腸炎と症状が似た病気(クローン病、感染性腸炎、大腸がんなど)との鑑別も重要です。正確な診断を行うことで適切な治療を早期に開始できるため、症状が気になる方は早めに医療機関を受診しましょう。

検査方法

1.大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

潰瘍性大腸炎の診断には内視鏡所見と生検所見が確定診断に有用です。
内視鏡検査は重症度、治療効果の判定、発がんのサーベイランスを判断するためにも重要な検査です。

2.血液検査

貧血や炎症の程度、薬の副作用の有無の確認などの目的

3.注腸X線画像検査

狭窄などにより内視鏡の挿入が不可能な場合の罹患範囲の確認や深部大腸の活動性評価に有効

4.その他

必要に応じCT、MRI、超音波、便検査などを行います。

潰瘍性大腸炎の治療

潰瘍性大腸炎の治療目標は適切な治療を継続することで、症状が落ち着いた状態(寛解期)を維持することで発症前と変わらずに日常生活を送ることができます。

令和6年度 改訂版 (令和7年3月31日) (令和7年3月31日) 潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班) 令和6年度分担研究報告書より引用

難病医療費助成について

潰瘍性大腸炎は厚生労働省の指定難病(難病医療費助成制度の対象疾患)の一つです。そのため、一定の条件を満たせば、医療費の一部が公費で助成される制度を利用することができます。
潰瘍性大腸炎は長期間にわたる治療が必要な病気であり、薬剤費や診察費などの経済的負担が大きくなることがあります。難病医療費助成制度を活用することで患者の経済的負担を軽減し、適切な治療を継続しやすくなるため該当する方は申請を検討しましょう。

潰瘍性大腸炎についてよくある質問

潰瘍性大腸炎は完治しますか?

現時点では、潰瘍性大腸炎を完全に治す治療法(根治療法)はありません。
潰瘍性大腸炎は慢性的に再燃(症状が悪化)と寛解(症状が落ち着いた状態)を繰り返す病気ですが、適切な治療を行うことで長期間にわたって症状をコントロールすることが可能です。

潰瘍性大腸炎の患者でも普通の生活を送れますか?

適切な治療と生活管理を行えば多くの方が普通の生活を送ることが可能です。
ただし、症状が悪化(再燃期)すると、仕事や日常生活に支障をきたすことがあるため、病状を適切に管理することが重要です。

ストレスは潰瘍性大腸炎の悪化に関係しますか?

はい。ストレスは潰瘍性大腸炎の再燃を引き起こす要因の一つです。

妊娠できますか?

妊娠する能力(妊孕性)は寛解期では一般の方と同じくらいです。
寛解を維持していればおおむね妊娠、出産が可能です。
当院でも出産する医療機関と連携し無事出産された方がいらっしゃいます。

がんになりやすいですか?

海外の研究では大腸がんの発生率が高いことが報告されています。

食事制限はありますか?

症状が落ち着いた寛解期の場合は厳密な食事制限はありません。
活動期に控える食材としては香辛料、コーヒー、アルコール、炭酸飲料、キノコ類、海藻類など。

運動、旅行はできますか?

寛解期であれば可能なケースも多いです。
詳しくは主治医に相談しましょう。

潰瘍性大腸炎は長期的な治療が必要な病気ですが、適切な管理を行えば日常生活を快適に過ごすことも可能です。

モモ・メディカル・クリニックでは、潰瘍性大腸炎の診療を行っています。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。