院長インタビュー
JR大塚駅から徒歩3分。便利な立地にある「モモ・メディカル・クリニック」は、父が産婦人科として開院した医院を、二代目となる現院長が継承。現在の百瀬隆二院長は父と異なり、胃腸科(消化器)が専門で、食道、胃、大腸、肝臓、胆のう、膵臓など、幅広く診療する。そのほか、イボ痔や切れ痔などを扱う肛門科、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を扱う内科も標榜。また、NBIを用いた内視鏡検査も得意としており、通常の検査では見つかりにくい初期がんの発見にも力を注いでいる。この街で暮らす人達にとっては、一般的な風邪からがんなどの早期発見まで幅広く頼れる、信頼度抜群のホームドクターだ。「私の専門外の患者さんでも、信頼のおける専門医へ心電図やレントゲン写真などをファックスやメールで送信し、適切な助言を迅速に確認します。『専門外だから診られない』のではなく、こうした連携が本来、医療のあるべき姿ではないかと思うんです」と語る百瀬院長。医療にかける熱い姿勢や、この街で長く地域医療に関わり思うことを、じっくりと伺った。
父が産婦人科、自分が外科と、親子2代で診療を行っていた時期も
―先生が医師をめざしたきっかけを教えてください。
もともと、ここで父が医院を開業しており、幼い頃から父の仕事ぶりを間近 で見ていましたのでなんの迷いもなく「将来は医師になる」と決めていたように思います。父は産婦人科医で多い時は毎日のように分娩があり赤ちゃんの泣き声が家中に響いていました。産婦人科だけではなく知人の外科の先生に協力していただき、胆石や胃潰瘍などの手術を行うこともあり、そうした活躍ぶりを目にするうち「外科の先生ってかっこいいな!」という気持ちが芽生えてきました。産婦人科は生命の誕生に立ち会うとても素晴らしい職業だと思います。しかし、私はスピード感に溢れ、手術という方法で患者さんの役に立てる外科の道を選びました。
―先生の専門分野は?
大学卒業後、順天堂大学第一外科に入局しました。現在は私が在籍していた頃と異なり臓器別に再編が行われていますが、当時の第一外科は消化器外科として食道、胃、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓疾患、一般外科として乳腺、甲状腺、痔疾患、ヘルニア等の外科治療(いわゆる手術)を行っておりました。大学および関連病院に15年在籍した後、他の病院で2年院長を務め、興味のあった整形外科を1年学んだ後、1997年にこちらに戻りビルに建て替えクリニックを開業私が1階、父が5階で診療に当たるようになりました。
―大塚の街についてはどのような印象を持っていますか。
すぐ近くに三業地(いわゆる花街)があって、昔はたくさん料亭があり通りを行く芸者さんの姿もよく目にしたものです。夜になると大勢の人が訪れる賑やかな所でした。バブル崩壊後はすっかり様子が変わってしまいマンションに建て替わり新しい住民の方が増えました。転居後もずっと通い続けてくださっている方もいらっしゃいますし(最長53年)、20数年前に父の所で産声を上げた方が三代にわたり来院していただいております。
見つけづらい初期のがんも、NBIを用いた内視鏡検査で早期に発見
―こちらの医院の特長を教えてください。
私の専門は消化器なので内視鏡検査による食道、胃、大腸疾患、超音波検査による肝臓、胆嚢、膵臓疾患の診断や治療を行っています。その他、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病、内・外痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔瘻などの肛門疾患の診療を行っています。2011年死亡数第1位は男女とも悪性新生物(がん)で、2012年部位別死亡数男性1位は肺がん、以下胃、大腸、肝臓、膵臓、女性1位は大腸、肺、胃、膵臓、乳房の順で男女とも消化器がん(胃、大腸、肝臓、膵臓)が多くを占めています。痔だと思って来院された方が実は直腸がんだったり、元来便秘だからと下剤を服用していた方がS状結腸がんであったり、自己判断してしまうのではなくぜひ一度診察を受けていただきたいと思います。当クリニッックで高血圧、糖尿病、高脂血症など生活習慣病の治療中の方で胃がん、大腸がん(上行結腸がん、横行結腸がん、S状結腸がん、直腸がん)、肝臓がん、肺がん、前立腺がん、乳がんなど数多く発見しておりますが皆さん早期のがんでしたので御健在です。
―内視鏡検査も数多く行っているのですね。
当院では豊島区の胃がん・大腸がん検診精密検査実施医療機関として多くの患者さんの内視鏡検査を行っております。内視鏡で発見できる病気のなかで皆さんがもっとも気になるのはがんではないでしょうか?少し前までは「がんは不治の病」と言われていましたが、手術、化学療法(抗がん剤治療)、放射線療法を組み合わせた現在では必ずしもそうではありません。近年、医療技術も格段に進歩し食道、胃、大腸の早期がんでは内視鏡による治療、腹腔鏡手術による治療など体に負担の少ない治療法があります。こうした治療を受けられるのはがんを早期に発見できた場合のこと。早期のがんはほとんど自覚症状がありませんので早期発見のためには、自覚症状が無い段階でも定期的に検診を受けることが重要です。そのため、当院では早期発見のためNBIを用いた内視鏡検査も実施。これは特殊な光を使って粘膜表面を観察する新しい技術です。通常の検査よりもっと初期の段階で見つけ易くするものです。
―高度な内視鏡検査も可能で、生活習慣病などにも対応してくれる。街の方達にとって頼れるホームドクターですね。
ありがとうございます。先ほどお話しした通り私の専門は消化器ですが、時折、「動悸がする」「胸が痛い」など専門外の異常を訴える方もいらっしゃいます。その様な時は心電図をとり循環器専門医にFAXで送り適切なアドバイスをもらうようにしています。「骨折の疑い」「肩が痛い」「歩いていると立ち止まってしまう」など整形外的なものはレントゲン写真をデジカメで撮影してメールに添付しアドバイスを受け、専門医の治療が必要であれば他院へ紹介しています。そうしたものを駆使しながら、患者さんにとってconvenient なクリニックであろうと考えています。
健康診断は受けっぱなしにせず、検査結果をもとに適切な行動を
―診察の際、モットーとしていることを教えてください。
いつも心がけているのは患者さんがお帰りになる時「ここで診てもらって良かったな」と思っていただくことです。症状によっても異なりますが詳しい説明が必要な時はきちんと「現在、あなたの病状はこうですよ」「これからこうやって治療します」「一般的に手術が必要なレベルはこれくらいですが、あなたの場合は必要ないですよ」など、患者さんがしっかり理解できるよう分かり易くお話しています。多くの場合患者さんが不安を抱えるのは、現在、自分がどんな状況に置かれているのか、病気がこれからどう進んでいくのか、はっきり理解できていないためだと思うのです。ですから、そうした患者さんに正しい情報を与え不安を取り除き、安心していただくために説明の時間は十分設けるようにしています。患者さんから「顔をみたら楽になった」「手術の時は先生にお願いします」と言っていただいたり、私より若い方から「ずっと診てもらいたいので長生きしてください」と声をかけて頂いた時は医師冥利に尽きます。また、先日、転倒して額を切ってしまった方は傷が深かったので縫合しましたが、この様な時は外科医で良かったなと思います。
―アメリカンフットボールチームのチームドクターも務めているのですね。
高校生の時アメリカンフットボールと出会い、大学入学後同級生に呼びかけ創部。当初は部員も少なかったのですが、創部6年目には関東医科歯科リーグ(10校)で準優勝するまでになりました。その時、指導して下さった方のお声掛けでその方が所属する社会人チームのチームドクターを務めています。シーズン前は選手の健康管理を行い、シーズン中は試合に帯同し、けが、痛み止めの注射などの処置を行うという時間的にもなかなかハードな内容ですが(笑)、やはりアメリカンフットボールが大好きなのでそのお手伝いができるというのは嬉しいです。また、現役を引退していわゆる中年になり生活習慣病を発症した方たちとも引き続きお付き合いしています。
―最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。
会社員の方なら会社で健康診断を行っていますし、それ以外の方は区や市などの自治体が行っている健康診断を受けることができると思いますが、受けたら受けっぱなしにするのではなく結果に応じて適切に行動していただきたいと思います。勿論、どこにも異常が見られないというのであれば診察を受ける必要もないでしょうが、それ以外の方は一度、検査結果をかかりつけ医へ持参し診てもらった方が良いでしょう。経過観察と書かれている項目でも「このまま放っておくとこういうリスクが高まるから、この様に気を付けておくと良いですよ」など適切なアドバイスを受けられると思います。こうした場合、普段から頼りになるかかりつけ医を見つけておくことがとても重要だと思います。かかりつけ医の見つけ方として「専門医」を一つの基準にしても良いと思います。一定の知識、経験、技術を持っていなければ専門医とは認定されません、60歳以下の医師なら大抵一つは持っていると思います。ですから、「専門医」と標榜していることをひとつの目安にして選ぶのも良いと思います。